それぞれの価値観

近年、ポリファーマシーが問題しされつつあります。ポリファーマシーとは、Poly(多くの) +Pharmacy(薬剤)の造語になりますが、単に薬剤が多いという意味ではなく、薬剤が多いことで「何時に何の薬を何錠飲まなければならないのか」といった事が分からなくなってしまい、患者さんの薬物有害事象につながる状態・飲み間違い・残薬などの発生につながってしまうという問題の事を言います。その他にも、不要な処方・過量重複投与といった不適正処方もこれに含まれます。この問題に対して、驚くほど多くの薬剤が記載されている処方箋を眼前にして「減らせる薬があるのでないか?」と思う経験は少なからずあるのではないかと思います。実際に、多剤併用にて治療を行っていた患者さんに対して減薬を試みた例があります。薬剤師が必要ないと判断した薬剤し対して、患者さんの同意のもとその薬剤の中止を医師に処方提案を行いました。その結果対症療法に用いられている薬剤がいくつか中止となりました。ところが、患者さんは薬剤を中止されたことによって日に日に不安が募っていったようです。最終的には、次の来局時に中止となった薬剤がすべて再開されていたと言います。この事例で何が問題かというと、「薬剤師の価値観のみ」で処方提案をしてしまったという点です。薬剤師が必要ないと判断した薬剤は、必ずしも患者にとって不必要なものとは限りません。そもそも患者さんからすれば、必要があるから処方されたと考えています。薬剤師から説明を受けてその場で同意したとしても、今まで服用していた薬を飲まない日々が続けば不安になるのも無理はないでしょう。少なくとも、処方提案を行う際は自身の価値観1つで動いてしまうのではなく、治療を行う患者さん本人の価値観・今起きている問題や将来起こり得る問題が何なのか・その提案が採用された後患者さんはどうなるだろうかといったところまで考える必要があるといえるでしょう。

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